3.「教育実習」の質的改善

「教育実習ルーブリック」の意義

1.教育実習ルーブリック作成の意義

 上越教育大学では,平成12年度に教育課題への対応と上越教育大学の教育理念を具現化するためカリキュラム改革を行い,平成14年度に分離方式の初等教育実習(同一校で5月1週間,9月3週間の教育実習)を導入しました。その結果,これまでの実践の中で大きな成果を挙げてきました。しかし,上越・妙高地域の各受入校からは,「上越教育大学では何をどこまで指導しているのか分からない。そのため,受入校としてどこから指導すべきかが分からない」「教育実習の評価が学校や指導教師によってばらつきがある」などの意見が寄せられました。学生からは,「教育実習の評価が不明瞭で公平感がない。実習前までに何をどこまでマスターすべきなのかが分からず不安が大きい」などの声が寄せられるようになりました。このような上越・妙高地域や学生からの声に真摯に対応すべく,3年次初等教育実習前までに身に付ける資質能力等を明らかにするための条件整備を進めてきました。さらに,分離方式の初等教育実習の充実に向け,教職関連カリキュラムを質的に充実させようとする気運も高まっていました。
 このような時,平成18年7月,中央教育審議会から「教職実践演習(仮称)」の提言がありました。上越教育大学では中央教育審議会が提示した「到達目標及び目標到達の確認指標例(以下,「中教審到達目標」)」に準拠した上越教育大学独自の到達目標と確認指標(上教大スタンダード)と教育実習ルーブリックを作成するための具体的な方途を検討するに至りました。教育実習ルーブリックについては,上越市・妙高市の校長会やすべての教育実習協力校から忌憚のない意見をいただき,学内外の関連委員会において検討中です。

2.内容・領域区分等の設定

 教育実習ルーブリックの作成に当たっては,「中教審到達目標」の枠組みを参考にしました。
 具体的な確認場面(教育実習)では,「中教審到達目標」を部分的に加筆修正し活用しています。例えば,「中教審到達目標」では,事項@として,「教員として求められる使命感や責任感,教育的愛情等に関する事項」を挙げ,到達目標として「教育に対する使命感や情熱を持ち,常に子どもから学び,共に成長しようとする姿勢が身に付いている」などを例示しています。また,確認指標例として,「誠実,公平かつ責任感を持って子どもに接し,子どもから学び,共に成長しようとする意識を持って,指導に当たることができるか。教員の使命や職務についての基本的な理解に基づき,自発的・積極的に自己の職責を果たそうとする姿勢を持っているか」などを例示しています。
 本学では,これらを参考にして,上越・妙高地域の教育実践の伝統や本学学生の実態等を勘案し,3年次初等教育実習の教育実習ルーブリックでは,次のように作成し,実践を通じて内容構成や運用方法などを見直す予定です。

<「教育実習ルーブリック」の一部>

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