3.「教育実習」の質的改善

「中等教育実習」

(1) 履修学生数と受入校数
  学部4年生125名 免許プログラム院生36名 (平成20年度)
学校数 上越市22校 妙高市4校 附属中学
(2) 実習期間
  5月 3週間
(3) 本学が行った指導(事前指導・事後指導)
  事前指導の内容
・中等教育実習の意義と激励
・中等教育実習における心構えと指導姿勢
・服務勤務の在り方
・履修記録簿の書き方の確認
・勤務上の諸注意 など
事後指導の内容
・実習の巡回指導での授業を参観しての総括
・「教育実習ルーブリック」に照らし合わせた自己評価とその総括
(4) 「教育実習ルーブリック」に照らし合わせた自己評価
  学生の自己評価からの抜粋(初等教育実習との違いに焦点付けて)

 I 教育実習で学んだこと

1 教員として求められる使命感や責任感,教育的愛情等に関する事項
Kさん: この3週間で,今まで以上に教員という職業の責任の重さに気付かされた。教師一人で問題に取り組むのではなくて,一つの学校という組織をあげてほんの小さな出来事にも真剣に全職員が向き合うのだという連帯性を先生方から学ぶことができた。
Uさん: 小学校実習で学んできたことや,小学校実習でみつかった課題を振り返ってから実習に臨んだ。一つの壁を越えるとまた新たな壁にぶつかり,あまりうまくはいかなかったが,私ができる精一杯のことをしてきた。私が一生懸命ぶつかっていけば,生徒も真剣に応えてくれるのだとわかった。
2 教員として求められる社会性や対人関係能力に関する事項
Tさん: 自習中は,様々な悩み,問題について,担任の先生,教科の先生,学年の先生から指導いただき,また実習生同士で励まし合うことで,乗り越えることができた。実習校では,職員間の連携を大切にしており,同じ方向性をもって生徒への指導に当たるときにも,問題を共有することの必要を強く感じた。
Sさん: 小学生と違い,一週目は,話しかけてくる生徒も少なかった。少し慣れてくると友達のような言葉遣いになって生徒と接してしまうところもあり,教師として威厳を保つ中で,本当の教師と生徒の信頼ある関係をつくることの難しさと大切さを学んだ。
3 教員として求められる幼児児童生徒理解や学級経営等に関する事項
Iさん: 中学生は,小学生と違い,話しかければ応えてくれたり,心を開いてくれたりするというものではなかった。なかなか話をしてくれなかったり,私に対して抵抗感をもっているな・・・と思う生徒もいた。それでも,生活記録ノートなどで,少しずつかかわっていくことで,お互い理解し合えるものなのだと感じた。
Kさん: 大人びた生徒たちと,どのように接したらよいかわからず,はじめは距離を置いてしまったが,これではいけないと思い,できるだけ接する機会を増やすように心掛けた。しかし,自分のところに積極的にかかわろうとする生徒にかかわるばかりで,平等に接することの難しさを感じた。
Hさん: 様々な生徒と部活動や授業,学級での指導を通してかかわった。その中でも,生徒一人一人が,その時や場に応じて見せる表情が全く違い,理解することの難しさを学んだ。とても明るく活発な生徒であるように見えていた生徒が,実は大きな悩みを抱えていたということもあり,生徒を一方向から見取るだけでなく,様々な視点から生徒理解を行うことが大事であると感じた。
4 教員として求められる教科等の指導力に関する事項
Kさん: 突っ込んだ質問をしてくる生徒もいて,専門的な知識を十分にもっていることが必要だと思った。また,専門的な用語を使うのではなく,生徒に分かりやすい言葉に置き換えて説明する力が必要だということを学んだ。
Kさん: 指導教官の授業と自分の授業は,何が違うのかを考えた。もちろん指導技術の差や経験の差,生徒との信頼関係の差もあるが,それとは違う何かがあるのでは……と感じていた。そして,授業に臨む姿勢の違いだということに気付いた。生徒を如何に授業に参加させて,生徒が輝ける舞台を作ってあげられるのかという配慮が自分には足りなかったことに気付いた。
(5) 成果と課題
初等教育実習における分離方式での経験が生きており,実習前に指導案を作成しようとする姿が多くありました。また,初等教育実習での反省を活かして臨もうとする姿が多くありました。
「教育実習ルーブリック」の活用により,観点にしたがって客観的な自己評価ができるようになっています。中等教育実習後の残りの大学生活で,どのような力を育めばよいのかを真剣に考えている姿がありました。
今年度の「教育実習ルーブリック」の活用は,学生の自己評価にとどまりました。H21年度からは,受入校担当教諭も,この「教育実習ルーブリック」を活用して学生への指導に当たることになります。さらにきめ細かな指導と評価に期待がもてます。