「教育実習ルーブリック」の活用
上越教育大学の教育実習ルーブリックは,4つの大項目と9つの中項目35の小項目に分かれています。4つの大項目は,上越教育大学スタンダードの指導すべき項目をそのまま活用しています。また,9つの中項目と,35の小項目は,大項目を参考にし,具体的な教育実習場面で指針となるように作成しました。
以下に,教育実習ルーブリックの一部を紹介いたします。
図
項目 | 中項目 | 小項目 | 「教育実習ルーブリック」(3年次)教育実習委員会 | |||
First stage | Second stage | Third stage | ||||
T 教員として求められる使命感や責任感,教育的愛情等に関する事項 | 1 | 内省 | 教育実習における自己課題を見出し,実習場面ごとに学ぶ視点を明確にしようとする。 | 教育実習における自己課題を問い直したり,新たな課題を見出したりすることができる。 | 教育実習における自己課題を問い直したり,新たな課題を見出したり,常に学び続けようとする姿勢をもつことができる。 | |
2 | 主体性 | 主体的・積極的に,教育実習に参加しようとする。 | 主体的・積極的に,教育実習における自己の職責を果たそうとすることができる。 | 時と場をわきまえ,主体的・積極的に教育実習における自己の職責を果たすことができる。 | ||
1 使命感や責任感 | 3 | 教育課題への対応 | 教育実習期間中,直面することが予想される教育課題に対して,基礎的な知識をもつ。 | 教育実習期間中,日々生起する教育課題に対して,常に謙虚に学ぶ姿勢をもつことができる。 | 教育実習期間中,日々生起する教育課題に対して,常に謙虚に学ぶ姿勢をもち,その解決の見通しをもつことができる。 |
実際の活用場面では,実習前の事前指導においては,学生の自己チェックリストの役割を果たし,実習に向けての自己評価を行うことが可能になります。
教育実習期間中は,教育実習生と受入校にとっての教育実習の座標軸になります。
教育実習後には,実習生自身が,自らの成長に気づき,今後の課題を見出す指針になります。
平成20年度は,附属小学校において,教育実習ルーブリックに基づいた教育実習指導を行ったところ,次の意見が寄せられました。
1 利用の場面や方法
附属小学校における教育実習ルーブリック利用の場や方法は,次の二つでした。
(1) 教育実習生担当教員 | |||
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@ 教育実習生への指導の参考としての利用 | ||
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○ | 授業を検討するときの参考にしました。 | |
○ | 一日の振り返りの一つの視点にしました。 | ||
○ | 教員としての立ち居振る舞いや教員としての心構えを教育実習生に指導しました。 | ||
○ | 教育実習日誌を記入する際の内省の視点として活用するよう教育実習生に指示しました。 | ||
○ | 指導をするときに教育実習生への指導内容が偏っていないかを確認するための指針としました。 | ||
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A 評価の目安・観点としての利用(教育実習中,教育実習後) | ||
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○ | 主にSecond stageの到達目標を見ながら,教育実習生がどのレベルまでできているかを評価する基準として活用し,指導の重点等を考えました。 | |
○ | 教育実習生の互いの評価の観点として利用するよう指示しました(担当する教育実習生の成長の確認)。 | ||
※@,Aの場合とも,毎日の利用はしませんでした。 |
(2) 教育実習生 | |||
教育実習生の教育実習ルーブリック利用の場や方法は,次の二つでした。 | |||
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@ 教育実習に臨むための利用 | ||
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○ | 1週目までの利用:61.5%,2週目の利用:43.6%,3週目の利用:46.2%という利用の割合が示すように,教育実習開始前後に教育実習ルーブリックを利用する学生が多くいました。 | |
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A 教育実習中の取組の確認と教育実習後の取組の振り返り | ||
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○ | 教育実習ルーブリックを利用した教育実習生の多くは,教育実習中に自分の取組を振り返る手がかりにしていました。 | |
○ | 教育実習が始まってから教育実習ルーブリックのよさを実感した学生もいたし,教育実習中は,あまり利用しなかったという学生もいました。 |