3.「教育実習」の質的改善

教育実習の質的改善を目指して 〜分離方式の初等教育実習の導入〜

 教育改革が進む中,教師の教育活動を創造する力量や授業の質が問われています。
 考えてみれば,教育実習は教育現場丸投げです。実習生は直前に打ち合わせを行い実習に臨みますが,そこで授業実習課題が提示され,実習期間中は授業づくりと学習指導案作成に費やされます。そのため,多くは指導書を読んで写し,プリントや簡単な教具を工夫する程度で終わっていました。これではマニュアルにすがる教師の養成にとどまってしまいます。

 本学では,「21世紀の教育は地方分権化が進み,学校は特色ある教育課程の創造がもとめられ,実践的で,創造的な教師の養成こそが極めて重要」と考えました。学生には専門的力量も必要ですが,まずは,何かを参考にして学習指導案をつくり,小手先の教具づくりで十分授業は事足りるという学生の思いこみを払拭しなければなりません。真に子どもが問題意識をもって熱中できる授業の創造は,教師の永遠の命題であり,教育実習だからこそ,たとえ失敗しても,深い教材研究を背景として,創意ある大胆な授業づくりに挑んでほしいと思うのです。そのためには,現場教師側の「実習生だから何とか教えられればよい」とする考え方も,変えてもらわなければなりません。

 本学では,それを分離方式による初等教育実習によって具現化しようと,校長会側と3年間のシミュレーションの末,平成14年度に導入致しました。

分離方式の初等教育実習とは?

 4週間の教育実習の1週間を分離して,6月の1週目に観察実習として位置づけ,残り3週間を本実習として9月3週以降に位置づけます。前実習では,A・Tとしてかかわり,授業参観,各種ガイダンス,学級児童の理解を深めます。本実習までのほぼ4か月間を研究期間とし,教材研究を深め,その上で学習指導構想を立案して本実習に臨みます。ポイントは前期の観察実習の最後に,本実習で授業実践する単元や題材を提示してもらうことにあります。当初は,「進度の関係で提示しにくい」という現場からの声もありましたが,徐々に定着してきました。