上越教育大学 教員養成GPプロジェクト

ICTを活用した学力の向上とメディア・リテラシー育成〜協力校教員・大学院生・大学教員の協働的継続的アクションリサーチを通して〜

取組実績と課題

2. <学力の向上>についての協働の経緯

(1) 学力調査の結果からみた児童の学力の状況

平成17年度に、新井小学校では、全校児童対象の学力テスト(NRT学力テスト)を実施した。基礎学力についてのアセスメントとして,その情報の提供を受けた。各学年とも、定着の状況はおおむね良好である。低学年の正答率が特に高い。4〜6年生については、1月初めの全県学力テストを受けた取組の成果も出ていると思われる。以下に、全体の成果及び5学年における教科ごとの課題が示された。結果は次の通りである。

○全体の概観
「国語」では、全領域を平均した値が全国(100)を5ポイント以上上回った。特に「書くこと」、「読むこと」「言語事項」では、10ポイント以上上回った。「算数」では、「数と計算」「量と測定」「図形」において、全国を10ポイント以上上回った。但し、「数量関係」では、3年生を除き、全国平均程度にとどまった。3年生以上の「社会」「理科」においては、各学年とも全国程度か、それを上回った。ただ、領域及び内容によっては、全国を下回るものもあった。
○5学年の課題(全国比105未満の項目)
国語:「要旨や文章構成を読み取ること」
社会:「日本の工業地帯の特色」「情報伝達手段の発達と情報の利用」「発達情報機器とその利用」
算数:「百分率」「円グラフ、帯グラフ」
理科:「動物の誕生と成長の様子」「ふりこの動きやおもりのはたらき

上記の結果から判断できることは、新井小学校では、これまでのきめ細かな学習指導の成果が、学力の確実な定着に寄与しているということである。これからは各学年の課題を明確に意識しながら、的確な方法で、確かな学力の定着に努めていくことになると考える。

(2) 基礎学力の確実な定着を図るための「学習履歴蓄積型個別学習教材」の導入

基礎学力についてのアセスメントの結果を踏まえ,弱点補強を主眼に児童に基礎学力の確実な定着を図ることとした。検討の結果,「学習履歴蓄積型個別学習教材」(販売:セコムラインズ)を導入することにした。3月初めに職員研修会をもち、「学習履歴蓄積型個別学習教材」についてデモンストレーションを行いながら使用方法の理解と今後の活用方法について模索した。

(3) 基礎学力の確実な定着を図るための「学習履歴蓄積型個別学習教材」の活用

中、高学年では、一部試行を始めた。高学年の子どもたちは、興味・関心が高かった。自分で課題を選び、挑戦できるのがよいようである。ただ、現在、計画的に学習を行っているわけではないので、目的意識や到達目標などを持たせることができず、つまみ食いする程度にとどまっているが、学習教材としての授業への導入については、中学年以上、特に高学年において有効であるとの意見を得た。特に、能力的に開きが出てくる高学年。或いは、学力偏差にばらつきのある学年、それらの子どもたちの能力や適性に応じた指導をすることが大きな活用目的の一つになろう。勿論、補充学習、発展学習的な扱いとして活用することも当然視野に入れる。

(4) 自学自習支援のための放課後チューターの導入

教科における学習内容の確実な定着のため,メディア・コンテンツを利用した学習を日常的に実践することをさらに進めることを考え,放課後チューターとして,上越教育大学から大学院生を定期的に派遣して,児童の個別学習の支援を行うこととした。